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お知らせ 2023/05/23

その時間、「労働時間」ですか?

 2023年3月で中小企業を対象とした60時間超の割増賃金率の猶予措置が廃止され、4月からは中小企業でも大企業と同じように、月60時間を超える時間外労働に対して、50%の割増賃金率が適用されることとなりました。
 今後は多くの会社で従業員の労働時間管理がさらに重要になってきます。
 

問題となるケース

 従業員の労働時間で、よく問題となるケースの1つとして「始業前の時間が労働時間として認められるかどうか」というものがあります。
 労働時間とは、労働者が使用者(会社)との間で締結した労働契約(労働者が自己の労働力を使用者に提供し、その対価として賃金を受ける)に基づき、使用者の指揮命令下におかれる時間のことをいいます。その為、手待ち時間についても、現実に精神又または肉体労働に従事していなくとも、「休憩時間中に来客当番として待機していれば、それは労働時間である」との行政解釈(昭63.3.14,基発150号)があります。
 裁判例でも、使用者(会社)から義務付けられた作業服や保護具の着脱等に要した時間について、「労働者が就業を命じられた業務の準備行為」と認めて、労働時間とされています(三菱重工長崎造船所事件)
 

➢始業前の着替えやラジオ体操を労働時間とみるべきか

 上記判例からみると、作業服の着用が災害防止上の見地、また使用者(会社)において作業能率の向上、職場秩序維持など経営管理上の見地から義務付けられた場合には、業務開始の準備行為として労働時間にあたるものと考えられます。
 なお、始業前のラジオ体操についても、同様に考えるべきですが、始業前のラジオ体操について「参加は従業員に強く奨励されていたが、義務付けられていたということはできない」として、労働時間として認めなかった判例(住友電気工業事件)もあります。
 

労働時間とされる一例

 ・実作業時間
 ・手待ち時間
 ・現場までの移動時間
 ・強制参加の会議、研修会
 ・強制参加の朝礼、ラジオ体操等
  
ラジオ体操等の時間については、この時間が賃金カットの対象とされたり、
  不参加が懲戒の対象になるのかどうか等によって判断することとなります。

 
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労働時間の管理については、平成29年に厚生労働省より労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドラインが公表されています。適正な労働時間の把握と管理を行えるルール作りを行いましょう。
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